「採るカメ」物語

実際に畑で野菜を作ってみて、目に見えて野菜が大きくなっていく様子を見て、達成感や嬉しさを感じました。このプランに軽い気持ちで参加してもらい、都会ではできない体験をしてもらうことで、農業に対する意識が変わると思いました。

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実験では夏季使用していない稲の育苗ハウスを使わせていただいてパプリカ、ピーマン、オクラ、ミニトマト、トウモロコシの5種類の野菜を作りました。次々とできていく予想以上の野菜の量に驚き、毎回の収穫が楽しみでした。ハウスの中は昼間50℃近くなりカメラの暑さ対策が大変でした。マイコン付きカメラは熱に弱く、日中熱くなると映像の色が黒くなったり、映らなくなることがありました。熱対策のために撮影を朝と夕方にして、日中はマイコンの電源を切って太陽電池の充電だけになるようにするなど、実際の農地でしか分からないことが多く、現場で実際に使ってみることが大切でした。今年の夏は特に暑く、ハウスの中にパソコンを持ち込み作業しようとしましたが、持つことができないくらい熱くなり実験を断念したこともありました。

野菜が大きくなっていく連続画像を見ていると、育てている実感があり、嬉しくなって他の人に見せたくなりました。自分で作る楽しさを知ってもらえ、子どもたちが農業を体験することで食べ物の大切さを知ることができ、農業をする人口が増え、地域の人たちが元気になり、人の笑顔が増えるそんなビジネスになると嬉しいです。

「採るカメ」ができるまで

この「採るカメ」は、実際にビニールハウスの畑を貸していただき野菜を育てる実証実験中、さまざまな課題がありました。モバイルバッテリの問題、太陽電池の使用、配線の問題、およびマイコンの動作不良などを解決し、連続稼働が可能なシステムを目指しました。

最初に、モバイルバッテリでカメラを動かすことを考えました。一時的には動作するものの、しばらくするとマイコンの電源が落ちる問題が発生しました。原因は、機器の消費電力が低いと電源を遮断する仕組みであることが判明しました。

そこで、長井市が農家に提供している太陽電池付きの獣除けの電気柵の電源を利用する試みを行いました。初めの1週間は稼働しましたが、梅雨の期間と悪天候が重なり、バッテリーが切れる事態が発生しました。また、畑に配線すると農作業の邪魔になり、カメラの位置がずれる問題も発生しました。

このため、カメラの配線をなくすため、太陽電池とモバイルバッテリを組み合わせた無配線の見守りカメラの検討を行いました。実験では、十分に太陽に照らされていないとき太陽電池の電圧が低い状態でマイコンに入り、マイコンに不具合が発生しました。

さらに、校内の実験では発生しなかった画像が異常になる問題が発生しました。調査の結果、カメラの過熱で画像の異常を起こしていたことが明らかになりました。

これらの課題を同時に解決するため、タイマーを利用して日中、暑くなる時間はマイコンの電源を切り、太陽電池でバッテリーを充電だけにする方法を採用し、連続運用が可能となりました。

「採るカメ」はAIを利用して畑からのメッセージを作成する機能を付けました。ユーザーが元気になる野菜目線からのメッセージを目指しました。プロンプトが長いと同じような文章が帰ってくることや、文章の長さ、内容について、試行錯誤しました。同じような文章が繰り返されないように このような文章を10種類ほど用意してランダムにChatGPTに送り文章を生成させています。

また、画像認識で単語を生成するAI を使い、画像によって文章を変えることにも挑戦しました。Clrifai(クラリファイ)という画像に自動でタグ付けできるAIサービスを使い畑の写真を変換させてみました。結果は「葉」「自然」などが並び、現在のところ使用できないことが分かりました。AIは飛躍的に進化していますので将来的に使用可能になると考えています